世界は意外とせまい

海外を転々としており、昨年3月からコロナ禍でミャンマーでの娘と子連れ単身赴任を終えて実家に帰ってきました。久しぶりの日本の生活、バイリンガル子育て、日本や世界の時事問題など気になることをつらつらと書いています。

ジョージ=オーウェルの「Burmese Days(ビルマの日々)」を読んだ

昨日、やっと年明けから少しずつ読んでいたジョージ=オーウェルGeorge Orwell)の「Burmese Days(ビルマの日々)」を読破しました。原作(英語)で読んでいた上、寝る前にちょこっとずつ読み進めていたので、半年以上もかかってしまった。

 

https://www.amazon.co.jp/ビルマの日々-ジョージ-オーウェル/dp/4882025213

 

お恥ずかしながら、オーウェルの名前くらいは聞いたことがあったし、世界史の教科書で「カタロニア讃歌」という作品が出てきたことくらいは覚えていたが、正直、彼の作品は一作も読んだことがありませんでした。それが、たまたまミャンマーの本屋さんでこの「ビルマの日々」のコピーを見かけて、気になってちょこっとググったところ、実はオーウェルは英国領インドの属州だった1920年代にビルマに赴任したことがあり、このビルマの日々が彼の最初の長編小説だということを知り、なんとなく読んでみたのがきっかけでした。

 

この作品、衝撃でした。ビルマの日々というより、オーウェルとの衝撃的な出会いという感じ。この世の中にこんなすごい小説家がいたのかと。文章自体の美しさや、読み物としての面白さだけでなく、人間描写の細やかさが秀逸。でも、それだけじゃない、魂を揺さぶられるようなものすごい力強い何かがある。

 

海外の作品でここまで琴線に触れられたのは、高校生の時に読んだマルグレット=ドゥラスの「愛人(ラ・マン)」(こちらは原作は仏語、日本語訳を読みました)以来でした。(植民地物に弱いのか)

 

読み始めから、あまりに心が揺さぶられたので、本気でその理由について、自分自身を含めて思わず考えてしまったくらい。

 

以下、この本が面白かった、もしくはなぜ自分がここまでこの本に衝撃を受けたのかをネタバレしない程度に書いてみます。

 

まず、小説は1920年代のミャンマー北中部のKyautadaという小さな町が舞台ですが、その頃の風景がミャンマーに住む者にとってはとても興味深いです。同じ気候を感じながら読むと、小説の中の世界にぐーーっと入っていって、そんな中でその時代の人々がどんな生活をしていたのかという描写が私にはとても面白かったです。

 

それから、主人公Floryと自分とは職業こそ違いますが、仕事で途上国に来ているExpat(外国人在住者)という意味では、その地位も立場も実は全く一緒とは言わずとも、かなり重なる部分があると思います。そして、その外国の地で小さいコミュニティの中で暮らしている点でも非常に親しみを感じざるを得ませんでした。

 

主人公のように、現地の言葉を話し、ビルマの美しさに魅了されつつ、それが理由で他の植民者と打ち解けられない。そこで、自らの信念と孤独との間に葛藤する様がもう本当に切ない。

 

もっと、詳細について言及したいと思いつつ、本当にネタバレをさせたくない、みんなにこの小説を読んでもらいという思いがあるので、これ以上は書かないことにします。

 

これから、彼の作品を改めて色々読まねばと考えています。

 

追伸、すっかり雨期らしい天気になってきました。

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空が悪魔に襲われたみたくなっていました。

 

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植木の水やりやビオトープの水たしが必要ないのはありがたいです。
 

おやすみなさい。